メモリ不足でパソコンが遅い…まず確認すること
仕事中にブラウザのタブを多く開いた瞬間、ノートパソコンがフリーズしかけた経験はありませんか。
タスクマネージャーを見ると物理メモリが90%以上を占有し、ディスクアクセスランプが点灯しっぱなしになっていることが多いはずです。
この状態はメモリ不足を補うためにストレージへアクセスする仮想メモリが過剰に働いているサインです。
しかし適切に仮想メモリを設定すれば、限られたメモリ搭載量でも一定の快適さを保てます。
本記事ではWindows11はもちろん一部Macユーザーにも役立つ仮想メモリ最適化の手順と注意点を紹介します。
「買い替えるしかないのでは」とあきらめる前に設定を見直してみましょう。
適切な仮想メモリ容量は機種や用途で変わるため、闇雲に増やすだけでは逆効果になる場合もあります。
仮想メモリとは?仕組みとメリット
仮想メモリは物理メモリが足りなくなった時にSSDやHDDの一部を一時的な作業領域として使うOSの機能です。
Windowsではページファイル、Macではスワップ領域と呼ばれることもあり、OSが自動で管理します。
物理メモリよりアクセス速度は遅いものの、アプリが強制終了するリスクを減らせるのが大きな利点です。
一方でストレージが断続的にアクセスされるため、動作がもたつく、SSDの寿命を縮めるなどのデメリットも存在します。
そのため最適な容量と配置を見極めることがパフォーマンス維持に直結します。
2024年春に公開されたMicrosoftの技術ブログでも、メモリ圧縮とページファイルの併用がパフォーマンスバランスを取る鍵と説明されています。
OSが自動で動く仕組みを理解したうえで手動設定を加えると、効果を最大化できるのです。
誤った設定はスリープ復帰失敗やアプリ起動遅延を招くため、数値を入力する前に必ずバックアップを取りましょう。
仮想メモリが必要になる主なケース
動画編集や3Dゲームのように大量のデータを同時に扱うアプリを起動した場合。
ブラウザで数十のタブを開きながらオンライン会議ツールを併用する在宅ワーク環境。
TeamsやZoomがバックグラウンドでメモリを常時消費するテレワークPCも要注意です。
これらは8GB以下のメモリ構成で頻繁に発生し、ページファイルに依存する割合が高まります。
クラウドストレージの同期クライアントもバックグラウンドで大きなキャッシュを作りメモリ消費の隠れた原因になります。
使用シーンを洗い出すことで、どの程度の仮想メモリが必要なのか見積もり精度が上がります。
Windows 11での仮想メモリ設定手順
1. 現状のページファイルサイズを確認
タスクバー検索に「詳細システム設定の表示」と入力し、パフォーマンス欄の設定を開きます。
詳細設定タブの仮想メモリをクリックするとシステム管理サイズが表示されます。
2. 自動管理をオフにしてカスタムサイズを指定
チェックを外し、初期サイズと最大サイズを手動入力できる状態にします。
容量の目安は物理メモリと同等か1.5倍程度ですが、インフォムの検証では16GB以上のPCは半分でも問題ないケースがあります。
3. ページファイル配置ドライブを選ぶ
高速なNVMe SSDを優先しつつ、システムドライブの断片化を避けるためDドライブを指定する方法も有効です。
ただし外付けSSDは接続が外れた際にブルースクリーンが起こる可能性があり推奨されません。
4. 再起動して変更を反映
設定後は必ず再起動し、タスクマネージャーでコミット済みメモリの値が変化しているか確認してください。
再起動後に問題があれば安全モードで起動し、元の設定に戻すとほとんどの不具合は解消されます。
設定のベストプラクティスと注意点
初期サイズと最大サイズを同じ値に固定すると断片化が減り読み書きが安定するという意見があります。
ただしWindowsアップデート直後は必要容量が跳ね上がる場合があり、頭打ち設定がトラブルの原因となる例も報告されています。
最近は物理メモリ価格が下がっており、8GBから16GBへ増設したほうが総合的に速くなる場合も多いです。
それでも薄型ノートパソコンのようにメモリがオンボードで交換できないモデルでは仮想メモリ調整が最も現実的な改善策です。
インフォムのサポート事例でも、適切なページファイル容量変更のみでアプリクラッシュが大幅に減ったケースが複数確認されています。
Macでスワップ領域を見直す方法
Macは標準でスワップサイズを手動変更するUIを提供していません。
しかしVentura以降は「バックグラウンド項目」を制御しメモリ消費を抑えることで実質的にスワップ発生を減らせます。
ストレージ空き容量が10%未満になるとスワップ拡張に失敗しシステム全体がフリーズするリスクがあります。
不要なアプリをアンインストールし、Time Machineのローカルスナップショットを削除するだけで快適さが戻る場合があるので先に試しましょう。
ターミナルでvm_statコマンドを実行すると現在のスワップ使用量を確認でき、仮想メモリ管理の指標になります。
Appleシリコン搭載Macはユニファイドメモリの高速性により、従来モデルよりもスワップによる体感低下が少ない設計です。
それでもiPadアプリを同時起動するStage Manager環境では、16GBモデルでもスワップが数GB発生する例があります。
SSD寿命と仮想メモリの関係
ページファイルは書き込みが頻繁に発生するため、SSDの総書き込みバイト数を押し上げる要因になります。
とはいえ近年発売されたNVMe SSDはTBW値が向上しており、日常的なPC利用で寿命に達するケースは稀です。
高画質動画編集やAI学習のような大容量書き込みを行うユーザーはSSDモニタリングツールで残存寿命を定期確認しましょう。
不安な場合は仮想メモリをHDDへ移すか、DRAMキャッシュ付きSSDを採用すると負荷分散になります。
メーカー公称TBWを超えても一気に故障するわけではありませんが、速度低下が始まる兆候として覚えておくと良いでしょう。
CrystalDiskInfoなどのフリーソフトで定期的にSMART値を確認し、リスクを早期に察知できます。
トラブルシューティングQ&A
設定を変更したらブルースクリーンが発生する場合、最大サイズを物理メモリの2倍以上に設定していないか確認してください。
「ページファイルが不足しています」と警告が出るときは、自動管理に戻してからメモリ増設を検討するのが安全です。
変更反映後も動作が遅い場合は、ストレージがSATA接続のHDDである可能性が高く、SSD交換が大きな効果を生みます。
エラーが継続する場合はメモリモジュールそのものが劣化している可能性があり、Windowsメモリ診断を併用すると原因切り分けがスムーズです。
仮想メモリ設定を変えても改善しないときは、異常アプリがメモリリークを起こしていないか更新履歴をチェックしましょう。
費用・期間・データ保護の観点
仮想メモリ設定自体は無料で行えますが、SSDへの移動や交換を伴う場合は数千円から数万円程度の部品代が発生します。
作業時間は設定変更のみなら再起動を含め15分ほど、SSD換装を含む場合でも1〜2時間が一般的です。
設定変更でデータが消えることは基本的にありませんが、SSD換装時はクローンミスを防ぐためバックアップを取得してください。
インフォムではデータ保持を最優先に、クローン作業から仮想メモリ最適化までワンストップで対応するプランを用意しています。
メモリ増設に挑戦する場合は保証を失う可能性があるため、メーカーサポート規約もあらかじめ確認しておきましょう。
法人PCでは管理ポリシーで仮想メモリが固定されていることもあるため、IT部門への相談が必要なケースもあります。
まとめ: 仮想メモリ設定で快適さを取り戻す
パソコンの動作が遅いとき、仮想メモリを適切に設定するだけで劇的に改善することがあります。
まず現状を把握し、物理メモリ容量、ストレージ種類、使用アプリを総合的に考慮してサイズを決めましょう。
Windows11では手動設定、Macではスワップ削減策という違いを理解して実践することが大切です。
SSD寿命やデータ保護にも目を配り、必要に応じてメモリ増設やSSD換装を組み合わせることで長期的に安定した環境を実現できます。
今回紹介した手順を参考に、ぜひあなたのPC環境でも最適な仮想メモリ設定を試してみてください。
設定は難しく見えますが、この記事で紹介したチェックリストどおりに進めればトラブルを最小限に抑えられます。
快適なPCライフを取り戻す第一歩として、ぜひ本日中に仮想メモリ設定を確認してみてください。