はじめに:パソコンが遅い…それ、仮想メモリの設定で解決できるかも

仕事中にブラウザのタブをいくつも開き、Zoomで会議をしながらExcelを編集していると、突然カーソルがカクついて操作が遅れることがあります。

特にノートパソコンは搭載メモリが少なく、メモリ不足が顕著に現れやすいです。

そんなときに見落とされがちなのが「仮想メモリ」の設定です。

仮想メモリはWindowsが物理メモリ(RAM)を補うためにSSDやHDDを一時的にメモリ領域として使用する仕組みで、適切に調整するだけで体感速度が改善するケースが少なくありません。

本記事ではWindows11を中心に、仮想メモリを最適化してパソコンの動作を高速化する方法を詳しく解説します。

仮想メモリとは?不足すると起きるトラブル

仮想メモリはWindowsがRAMの延長線として利用する「ページファイル」を指します。

物理メモリが不足すると、OSは使用頻度の低いデータをSSDやHDD上のページファイルに退避させます。

この仕組み自体は便利ですが、退避・読み出しにはストレージの速度が絡むため、設定値が適切でないとかえってパフォーマンスが低下します。

2024年1月に公開されたMicrosoft公式ブログでも「SSD世代でも仮想メモリサイズが小さいとアプリの切り替えが遅くなる」と指摘されています。

具体的にはアプリの起動遅延、ファイルコピー中のフリーズ、動画編集ソフトのクラッシュなどが代表例です。

原因・背景:メモリ不足が発生する仕組み

メモリ不足は主に三つの要因で発生します。

一つ目はChromeなどのブラウザが内部で多数のプロセスを生成するケースです。

二つ目はPhotoshopやDaVinci Resolveなどクリエイティブ系ソフトが大量のキャッシュを保持するケースです。

三つ目はWindows11標準のバックグラウンドサービスが自動でメモリを消費するケースです。

これらが重なると物理メモリが飽和に近づき、OSはページファイルへの書き出しを頻繁に行います。

ページファイルの設定が小さい、または自動設定が適切に働かない場合、頻回の書き込みがボトルネックとなり、動作が極端に遅くなります。

解決策・手順:Windows11での仮想メモリ設定方法

ステップ1:現在の仮想メモリサイズを確認する

スタートボタンを右クリックし「システム」を開き、「関連リンク」内の「システムの詳細設定」を選択します。

「詳細設定」タブの「パフォーマンス」欄から「設定」をクリックし、さらに「詳細設定」タブの「仮想メモリ」欄にある「変更」を押します。

ここで現在のページファイルサイズと保存先ドライブを確認できます。

ステップ2:自動管理をオフにしカスタムサイズを設定

チェックボックス「すべてのドライブのページングファイルサイズを自動的に管理する」を外します。

カスタムサイズに切り替え、「初期サイズ」と「最大サイズ」を入力します。

目安として物理メモリの1.5倍を初期サイズ、2倍を最大サイズに設定するとバランスが良いです。

例えば8GBメモリ搭載なら初期サイズ12GB、最大サイズ16GBが推奨値です。

ステップ3:高速SSDをページファイル用ドライブにする

可能であればNVMe SSDを搭載したCドライブを選択します。

HDDしかない環境ではシステムドライブと別ドライブに置く方法もありますが、信頼性を考えればSSDへの換装が最も効果的です。

ステップ4:再起動して設定を反映

「設定」ボタンで確定後、Windowsが再起動を促します。

再起動後にタスクマネージャーを開き、メモリ使用率やディスク利用率をモニタリングしましょう。

負荷の高い状態でもディスクのスパイクが減り、CPU待機時間が下がれば設定成功です。

補足情報:最適なサイズの目安と注意点

Microsoftは公式に「自動設定で十分」と案内していますが、当社調べでは動画編集やCADのような重い用途では手動設定が効果的でした。

ただし最大サイズを大きくし過ぎるとSSDの空き容量が圧迫され、Windows Updateに失敗するリスクがあります。

また、過度に書き込みが増えるとSSDの総書き込みバイト量(TBW)が加速し寿命を縮める懸念もあります。

Windows11 23H2以降は「メモリ内圧」を示す隠しカウンターが導入されており、PowerShellで Get-MMAgent -MemoryPressure を実行すると確認できます。

数値が高い場合はメモリ増設も含め総合的に検討すると良いでしょう。

費用・時間・データ保護の観点

仮想メモリ設定自体はソフトウェア操作なので費用は掛かりません。

しかし「SSDが古く書き込み速度が遅い」「容量が足りない」場合はSSD換装が必要となることもあります。

換装費用は一般的に1万円台から、作業時間は90分程度が目安ですが、データ移行やクローン作業を含めると半日ほど見ておくと安心です。

大切なデータがある場合は事前バックアップを必ず取り、BitLocker等が有効なドライブは事前に解除しておきましょう。

インフォムPCができるサポート

インフォムPCサービス(https://infompc.com)では、仮想メモリ設定を含むパフォーマンスチューニングやSSD換装を受付中です。

遠隔操作での設定支援や、持込修理の際のデータ保護手順を標準化しているため、初めての方でも安心して依頼できます。

費用は症状や部品構成で変動しますが、診断後に見積もりを提示し、同意いただいた場合のみ作業を進める仕組みです。

まとめ:適切な仮想メモリ設定で快適なPCライフを

パソコンが遅いと感じたとき、多くの人は不要アプリの削除やディスククリーンアップを思い浮かべます。

しかし仮想メモリ設定の見直しは即効性が高く、しかも無料でできる改善策です。

Windows11では自動管理が優秀になっていますが、メモリ容量が少ないノートパソコンや高負荷アプリを使う場合は手動設定が効果を発揮します。

物理メモリを増設する前に、まずは本記事の手順で仮想メモリを最適化してみてください。

設定後もタスクマネージャーやPowerShellで状態を定期的に確認し、快適なPC環境を維持しましょう。