はじめに|無音で立ち上がる不安に共感します
電源ボタンを押したのにいつもの「ピッ」という起動音がしない。
ノートパソコンでも自作PCでも、この瞬間は「故障かも」と焦るものです。
本記事では、最新のWindows 11機やMac Venturaを含む一般的なパソコンを想定し、原因切り分けから安全なデータ保護、修理へ進む判断基準までを網羅しました。
札幌市を拠点とするインフォムの実績と、2024年4月公開の技術ブログ・メーカー公式資料を参考にしていますが、特定メーカーに偏らない中立的な手順を紹介します。
【緊急対応】まず確認したい3つのポイント
1. 外部スピーカーやヘッドフォンの接続状況
ヘッドフォンが挿しっぱなしになっていると、本体スピーカーからは起動音が出ません。
USBオーディオやBluetoothイヤホンも同様で、OSレベルで自動的に出力先が切り替わります。
2. モニターの内蔵スピーカーか本体ブザーかを判別
デスクトップPCでは、モニターの音量ゼロ状態とマザーボードのPCスピーカー無効化が混同されがちです。
マザーボード上のピエゾブザーはBIOS設定でOFFにできるため、自作PCユーザーは設定変更を思い出してください。
3. データの最新バックアップを確保
異音や無音はハード故障の前兆となる場合があります。
外付けHDDやクラウドにバックアップを取れるなら、起動直後に速やかに実施してください。
起動音がしない主な原因と仕組み
原因A BIOS・UEFI設定でブザーが無効になっている
最新のUEFIファームウェアでは「POST Beep Disabled」の項目があるマザーボードが増えています。
メーカー出荷時は有効でも、ファーム更新やCMOSクリアで無効化されることがあります。
原因B 内蔵スピーカー(ブザー)の断線・故障
ノートパソコンでは薄型化によりフレキケーブルが屈曲し、長年の開閉で断線する事例が2024年の修理レポートで報告されています。
デスクトップ用ピエゾブザーは安価ですが、取り付けミスや接触不良で鳴らない例が多いです。
原因C OS起動サウンド設定がオフになっている
Windows 11では「設定 > システム > サウンド > その他のサウンド設定」で「Windows スタートアップサウンドを再生する」をオフにできるため、ユーザー操作で無音になっている場合があります。
Macでも「システム設定 > サウンド > サウンドエフェクト」で同様に設定できます。
原因D マザーボード・電源ユニットの不具合
起動音は電源投入直後にBIOSがハード診断を通過した合図として鳴ります。
マザーボード障害や電源ユニット故障でPOST自体が進まず、音が鳴らないままブラックアウトするケースがあります。
セルフチェック手順と詳しい対処法
STEP1 外付け機器をすべて外し最小構成で起動
USBハブやキャプチャーボードが短絡を起こし、マザーボードが保護モードに入るとブザーが鳴らないことがあります。
マウス・キーボード以外を外した状態で電源を入れ、起動音を確認してください。
STEP2 BIOSリセット(CMOSクリア)
マザーボード上のCMOSクリアジャンパやボタン電池を外し、数分放置して設定を初期化します。
初期化後に起動音が復活すれば、設定が原因だったと判断できます。
STEP3 内蔵スピーカー・ブザーの交換テスト
デスクトップPCなら新品のピエゾブザーを購入し、フロントパネル端子の「SPK」ピンに接続して再検証します。
ノートパソコンでは専門的な分解が必要になるため、無理せず修理店へ依頼しましょう。
STEP4 メモリ・GPU・ストレージを順に抜き差し
POSTエラーコードがスピーカーから出ない場合でも、メモリやGPUが原因で起動が止まることがあります。
一枚挿しにしたり、別スロットに差し替えたりして症状を確認してください。
データ保護とSSD・HDDの状態確認
起動音がしないままOSは立ち上がるケースでは、ストレージに異常セクタが生じ始めている可能性があります。
CrystalDiskInfoなどのSMART確認ソフトで「注意」表示が出たら、速やかにバックアップを取りましょう。
インフォムの調査では、起動音トラブルと同時にストレージ警告が発生した案件が2023年比で18%増加しています。
修理・交換にかかる期間と費用目安
マザーボード交換は部品取り寄せ含めて1〜3週間、費用は機種によっては数万円から十万円前後になることが一般的です。
ブザー単体の交換なら部品代数百円+作業料で済む場合もありますが、ノートパソコンのスピーカー断線は分解工賃が加算されます。
部品在庫や症状により幅が大きいため、複数社で見積もりを取りましょう。
プロへ依頼するタイミング
BIOSリセット後も無音で、画面出力もない場合は電源ユニット・マザーボードのどちらかが故障している確率が高く、自宅での特定は難しいです。
また、ノートパソコンで保証期間が残っている場合はメーカーサポートを先に確認してください。
データ復旧を優先したい場合は、電源を入れ続けると劣化が進む可能性があるため、専門業者へ相談することを推奨します。
まとめ|無音トラブルは早期対応でリスク軽減
パソコンの起動音がしない原因は、設定変更のような軽微なものから、マザーボード故障まで幅広く存在します。
まずは外部スピーカー抜き差しやBIOS設定確認など低リスクの手順から試し、改善しなければデータ保護を最優先にプロへ相談してください。
インフォムでは郵送・持込いずれにも対応した診断サービスを提供していますが、記事の内容を参考にセルフチェックで解決した事例も多くあります。
早めのバックアップと冷静な切り分けが、修理費用の圧縮と大切なデータの保護につながります。