ネットが突然切れた!まずは症状を整理しよう

ノートパソコンでオンライン会議中に急に Wi‑Fi が切断され、その後再接続できなくなった経験はありませんか。

多くの場合はルーターのトラブルと考えがちですが、実はネットワークドライバの不具合が原因だったというケースが少なくありません。

ドライバは OS と通信機器をつなぐ通訳のような役割を持ち、古いバージョンでは最新のセキュリティ標準や高速通信規格に対応できないことがあります。

この記事ではパソコンのネットワークドライバを安全に更新する手順と、更新前後に押さえておくべきポイントを体系的に解説します。

2024 年春に公開された Intel のリリースノートでも「古いドライバは WPA3 ネットワークで接続が不安定になる」と報告されており、早めの対策が推奨されています。

それでは具体的に見ていきましょう。

ネットワークドライバとは何か

ネットワークドライバとは、パソコンの OS が無線 LAN アダプタや有線 LAN ポートを制御するためのソフトウェアです。

ドライバが正しく機能していないと、物理的にアンテナが正常でもネットワークが認識されない、速度が出ない、頻繁に切断されるといった症状が発生します。

特に Windows11 のように大型アップデートを経た OS では、従来のドライバとの互換性問題が報告されることがあります。

このため定期的な更新が安定した通信のカギとなります。

更新が必要になる主なタイミング

ネットワーク速度が突然低下したとき。

接続先のルーターを変更したのに認識しないとき。

OS や BIOS をアップデートした直後。

セキュリティアプリから脆弱性の警告が表示されたとき。

メーカーサイトで新しいドライバが配布開始されたとき。

こうしたサインを見逃さず、計画的な更新を行うことで大きなトラブルを防げます。

更新前に行うべき緊急対応とバックアップ

まずは現在インストールされているドライバのバージョン情報をメモし、アンインストール用のファイルを保管しておきましょう。

Windows のシステム復元ポイントを作成しておけば、万が一更新後に通信が途絶えても元の状態に戻すことができます。

可能であれば有線 LAN ケーブルかスマホのテザリングでインターネットに接続できる環境を確保しておくと安心です。

またデータ復旧の観点からも、重要な資料や写真は外付け SSD にコピーしておくことをおすすめします。

Windows11 での自動更新手順

Windows11 ではデバイスマネージャーからネットワークアダプターを右クリックし「ドライバーの更新」を選択します。

「ドライバーを自動的に検索」をクリックすると、Microsoft のサーバーから推奨バージョンがダウンロードされます。

更新後は PC 再起動の案内が表示されるので、必ず指示に従って再起動しましょう。

再起動後にネットワーク接続が復活しているか、速度テストサイトで実測値を確認することが大切です。

自動検索で見つからない場合

Windows Update が最新と言っても、メーカー独自のチューニングが施されたドライバが別に用意されている場合があります。

その際は次のセクションで紹介する手動インストールを試しましょう。

メーカーサイトからの手動インストール

ノートパソコンの場合は機種ごとのサポートページにアクセスし、型番を入力すると対応ドライバの一覧が表示されます。

必ず OS のビット数とバージョンを確認し、誤ったファイルを入れないように注意してください。

ダウンロードした圧縮ファイルを解凍すると「Setup.exe」または「.inf」ファイルがあります。

セットアップ形式ならダブルクリックでインストーラを起動し、表示される手順に従います。

inf ファイルの場合はデバイスマネージャーで「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選び、フォルダーを指定します。

インストール後は再起動し、デバイスマネージャーに黄色いエラーアイコンがないか確認することが重要です。

オフライン環境での更新方法

すでにネット接続が失われている場合は、別の PC でドライバをダウンロードし USB メモリに保存します。

トラブル中の PC に USB を挿し、前述の手動インストール手順を実行すればオフラインでも更新可能です。

ドライバファイルは数百 MB 程度あるため、容量に余裕のあるメディアを用意しましょう。

事前にデジタル署名があるか確認し、信頼できないサイトからの入手は避けるべきです。

更新後に通信できなくなったときの復旧策

最初に試すべきはシステム復元で、更新前の状態にロールバックします。

復元ポイントを作っていない場合はデバイスマネージャーの「ドライバーの更新」から「以前のドライバーに戻す」を選びます。

それでも回復しないときはセーフモードで起動し、ネットワークアダプタを一度アンインストールして再起動します。

再起動時に Windows が標準ドライバを自動適用し、最低限の通信が行えるようになることがあります。

接続が復旧したら、安定版ドライバを改めてダウンロードし、手動インストールを行ってください。

費用とサポートを依頼する目安

ドライバ更新自体は無料で行えますが、原因特定やバックアップを専門業者に依頼すると数千円から数万円程度の作業料金が発生します。

ハードウェア故障が疑われる場合は部品交換代が別途かかることもあり、総額は症状と機種によって大きく変動します。

ビジネス用途の PC で停止時間を最小限にしたい場合や、ネットワーク構成が複雑なオフィスではプロに任せる方が結果的にコストを抑えられるケースもあります。

インフォムの中立的サポート事例

インフォムの修理受付記録によると、2023 年度はネットワーク関連の相談が全体の約 18 パーセントを占めました。

ドライバ更新のみで改善した案件では平均作業時間は 30 分程度と短く、データ保護の観点でもリスクが低かったと報告されています。

一方でマザーボード上の無線チップが故障していた事例では部品交換が必要になり、部品取り寄せを含めて 1 週間前後かかったケースもありました。

同社では電話やチャットでの事前診断を行っており、軽症と判断できればリモート操作で対処法を案内しています。

アップデートを定期的に行うメリット

セキュリティパッチが適用され、ゼロデイ攻撃の被害を防ぎやすくなります。

新しい暗号化規格や Wi‑Fi 6E など最新プロトコルへの対応が進むことで、通信速度と安定性が向上します。

OS の大型アップデート時に残る互換性問題を事前に解消できる可能性が高まります。

こうしたメリットは家庭用だけでなく、リモートワークで VPN を利用するビジネス環境でも重要です。

まとめ

パソコンのネットワークドライバは OS と通信機器をつなぐ重要な役割を果たしており、バージョンが古いままだと接続不良や速度低下の原因となります。

更新前には必ずバックアップと復元ポイントを作成し、トラブル発生時にすぐ戻せる体制を整えましょう。

Windows11 の自動更新で解決しない場合はメーカーサイトから手動インストールを行い、オフラインでも対応できるよう USB メモリを準備しておくと安心です。

それでも改善しない場合はハードウェア故障が疑われるため、専門業者への相談も検討してください。

定期的なドライバ更新はセキュリティと快適な通信環境を両立させる最もシンプルなメンテナンス手段です。

今日紹介した手順を実践し、安全かつスムーズにネットワークドライバを更新して快適な PC ライフを取り戻しましょう。