Windowsの仮想メモリ(ページファイル)設定【2025年版】—“増やせば速くなる”ではありません
まず結論:Windows 10/11 は既定の「システム管理」に任せるのが原則です。
手動でいじるのは、(1)クラッシュダンプを確実に採りたい、(2)コミット上限(仮想メモリ上限)が足りない——この2つの目的があるときだけ。しかも最適なサイズはPCごとに異なるため、昔の「1.5倍/3倍」みたいな一律ルールは現在は推奨されません。
仮想メモリ(ページファイル)とは?
物理メモリ(RAM)だけでは足りないときの“逃がし先”かつ、Windows がコミット(仮想メモリの確保)をさばくための安全弁です。さらに、ブルースクリーン(クラッシュ)時のメモリダンプを保存する役割もあります。Windows は既定でページファイルを自動拡張/縮小します。
3分でできる“まず確認”
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Ctrl + Shift + Esc
→ [パフォーマンス] → メモリを開き、
「コミット済み / コミット制限」(例:24.0 / 31.9 GB
)をチェック。 -
ピークが制限の90%前後まで迫ることが多いなら、RAM増設またはページファイル増量を検討します。Windowsのシステム管理は、この状況で自動的にページファイルを拡大します。
用語メモ
コミット済み=今まさに“確保”している仮想メモリ量
コミット制限=RAM+ページファイルなどから決まる“上限”
手動調整が必要になるのはどんな時?
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完全/カーネルダンプを確実に採りたい(検証・障害解析など)
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大型データ処理や映像編集/AI推論などでコミット上限に当たる(アプリが落ちる/「仮想メモリが不足」警告が出る など)
→ その場合も最適値はPCごとに違うため、実測ベースで決めるのが正解です。
“自動管理 vs 固定化”の考え方(2025年の実務基準)
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基本は自動管理:コミットが上限の90%に達すると、Windows はページファイルを最大で「RAMの3倍」または「4GBの大きい方」まで拡大します(ただしボリューム容量による上限あり)。まずは自動が安定・安心。
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固定化は目的があるときだけ:ダンプ要件や容量計画のために意図的に固定するのはOK。ただし過度に小さく固定すると、アプリが確保に失敗したり、ダンプが採れなかったりします。
※HDD時代に言われた「断片化を避けるため固定が速い」という一般論は、SSD主流の現在では根拠が薄く、原則は自動で問題ありません。
【手順】最小限のリスクでサイズを見直す
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設定画面を開く
Win + R → sysdm.cpl
→ [詳細設定] → [パフォーマンス] 設定 → [詳細設定] → [仮想メモリ] 変更。 -
現状を記録(現在のサイズ/ドライブ/「システム管理」かどうか)。
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方針を決める
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原則:「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」に戻す/維持。
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手動にする場合は、**次の「目安」**で設定。
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目安(実測ベース)
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タスクマネージャーで最近のピークコミットを把握。
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ざっくり:最小=(ピークコミット − 物理RAM)、最大=その 1.5〜2倍を“仮置き”→運用しながら調整。
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ダンプ要件がある場合は下記“ダンプを採りたい方へ”を最優先。
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ダンプ(ブルスク解析)を確実に採りたい方へ
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既定の 「Automatic memory dump(自動)」は、ページファイルがRAM未満でも多くのケースでカーネルダンプを確保できるよう、Windows がサイズを自動調整します。直近4週間に再度クラッシュすると、RAM相当(最大32GB)などに自動的に拡大されます。
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完全メモリダンプを選ぶ場合は、Cドライブに「RAM + 257MB」以上のページファイル(または専用ダンプファイル)が必要です。解析重視の検証機ではここを確実に満たしてください。
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専用ダンプファイル(ページングに使わない“ダンプ専用”領域)を使えば、通常のページファイルは小さめでもダンプを保持できます。
SSDに置いて大丈夫?寿命は?
問題ありません。ページファイルはSSD上のほうが有利という見解もあります(小さなランダムリードが多い等)。少なくとも「SSDだから禁止」という考え方は不要です。CドライブのSSD上に置く構成が一般的かつ扱いやすいです。
大容量RAM(例:64GB以上)では不要?
場合によります。ピークコミットが物理RAMで十分足りるなら、ページファイルをコミット拡張のためには使わない可能性があります。ただしダンプを採るならページファイル(または専用ダンプファイル)が必要です。
よくあるトラブルと対処
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「仮想メモリが不足しています」やアプリが落ちる
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自動管理に戻す → 空き容量を確保 → それでも出るならRAM増設を検討。
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ダンプが出ない
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Cドライブに十分なページファイルがあるか、専用ダンプファイルを用意しているか確認。完全ダンプの場合はRAM+257MBが必要。
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設定をいじり過ぎて起動が不安定
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セーフモードで起動 → 「自動管理」に戻す → 再起動。
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まとめ(運用のコツ)
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まず自動管理のまま運用し、コミットのピークを観察。
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目的が明確な場合のみ手動調整(ダンプ要件またはコミット不足)。
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固定値は“カチッと決めるもの”ではなく、実測→微調整で最適化。
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SSD上でOK。空き容量にだけ注意。
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