突然の動作低下…それは仮想メモリ不足かもしれません

新しいゲームをインストールした途端にノートパソコンの動作が極端に遅くなった経験はないでしょうか。

タスクマネージャーを開くとメモリ使用率が一〇〇%に張り付いているのに購入したばかりの一六GB RAMが足りないはずはないと首をかしげる方も多いはずです。

その原因の一つが仮想メモリの設定不足です。

物理メモリが逼迫したときWindows一一はSSDやHDDの一部を仮想的なメモリ領域として利用します。

しかし初期設定のままではストレージ容量や用途に対して適切なサイズが割り当てられていないケースがあります。

本記事ではパソコン初心者でも理解できるよう仮想メモリの基礎から設定手順トラブルシューティングまで網羅的に解説します。

仮想メモリとは何か

仮想メモリとはRAMが不足した際にストレージ上に一時的に作られるスワップ領域のことです。

Windowsではページファイルと呼ばれpagefile.sysという隠しファイルとして保存されます。

容量を適切に確保すれば同時に立ち上げられるアプリの数を増やせます。

一方でSSDに過度な読み書きが発生すると寿命を縮める恐れがあるため適正サイズの設定が重要です。

仮想メモリが不足する原因

二〇二四年現在動画編集や生成AIアプリなど大量のRAMを要求するソフトが急増しました。

従来の初期値では仮想メモリが足りずメモリ不足警告が出る例が目立っています。

特に八GB以下のノートパソコンをWindows一一にアップグレードしたユーザーは注意が必要です。

また高速なNVMe SSDへ換装した際クリーンインストール後にページファイル設定が自動調整されず小さくなる事例も報告されています。

設定前の確認ポイント

設定変更前に現在のメモリ搭載量とストレージ空き容量を確認しましょう。

タスクマネージャーのパフォーマンスタブで物理メモリとコミット済みメモリをチェックします。

コミット済みメモリが物理メモリと仮想メモリの合計を上回っていないかが重要です。

加えてSSDの残容量が二〇%以上残っているかも確認しましょう。

Windows11での仮想メモリ設定手順

スタートメニューを右クリックしシステムを選択します。

右側の関連リンクからシステムの詳細設定を開きます。

パフォーマンスの設定をクリックし詳細設定タブを選択します。

仮想メモリの変更を押すとドライブごとのページファイル設定画面が表示されます。

すべてのドライブのページングファイルサイズを自動的に管理するのチェックを外します。

使用するドライブを選択しカスタムサイズにチェックを入れて初期サイズと最大サイズを入力します。

一般的には物理メモリの一・五倍を初期サイズ三倍を最大サイズに設定すると安定します。

例えば一六GB RAMなら初期サイズ二四五七六MB最大サイズ四九一五二MBが目安です。

設定ボタンを押してOKをクリックし再起動すると新しい値が適用されます。

自動管理との違い

Windows一一の自動管理は負荷に応じてページファイルを伸縮させます。

ただし動的拡張時にフラグメンテーションが起こり速度低下が発生しがちです。

固定値を指定しておくことで断片化を防ぎ予測可能なパフォーマンスを維持できます。

最適なサイズ設定の考え方

Microsoft公式ドキュメントでは六四GB以上のメモリを積むハイエンドPCではページファイルを最小限に抑えても良いとされています。

逆に八GB以下では物理メモリの二倍を最大値に設定しエラーなく動作するか確認することが推奨されています。

最新のテストレポート(二〇二四年二月PCWorld)でも動画編集ソフトDaVinci Resolve一七はRAM一六GB仮想メモリ三二GBでプレビュー落ちが解消されたと報告されています。

ライトユーザー

ブラウジングとオフィスソフト中心なら物理メモリと同容量をページファイルに割り当てれば十分です。

ゲーミング・クリエイター

最新ゲームやAdobe Premiere Proを動かす場合は物理メモリの一・五〜二倍を最大サイズに設定しましょう。

AI開発・仮想マシンユーザー

ローカルで大型言語モデルを動かすなどRAMを大量消費する作業では物理メモリの三倍を上限にすると急なスワップアウトに耐えやすくなります。

設定後に確認すべきこと

設定後はイベントビューアーでページファイル関連の警告が出ていないか確認します。

CrystalDiskInfoなどでSSDの書き込み総量をモニタリングし極端な増加がないかチェックします。

パフォーマンスモニターでディスクのキュー長が常に高い場合は仮想メモリがボトルネックになっている可能性があります。

よくあるトラブルと対処法

設定値を低くし過ぎると必要な仮想メモリが確保できませんでしたというブルースクリーンが発生します。

この場合はセーフモードで起動しページファイルを自動管理に戻して再起動すると復旧することが多いです。

反対に高く設定し過ぎるとストレージ空き容量が急減しWindows Updateが失敗する事例があります。

ディスククリーンアップで古い更新プログラムや一時ファイルを削除し適正値まで下げてください。

インフォムの観点

インフォムPCサポート(https://infompc.com)への二〇二三年相談実績では動作遅延の約三割が仮想メモリ設定に起因していました。

当社調べではSSD搭載モデルでページファイルを固定化し断片化を防ぐことで平均起動時間を二八%短縮できたケースもあります。

サービス利用時は状態診断とバックアップを含めた最適化プランを提案していますが記事の手順を参考に自分で実践することも十分可能です。

費用と時間の目安

設定調整自体は無料で行えますが物理メモリ増設やSSD換装を合わせて検討する場合一般的に一万円程度から部品代が発生します。

作業時間はバックアップを含めて一〜二時間が目安ですが大容量SSDへのクローン作業ではさらに時間がかかる場合があります。

まとめ

仮想メモリはパソコンの安定運用を支える縁の下の力持ちです。

Windows一一では自動設定でも動作しますが用途に合わせてカスタム設定すればパフォーマンスが大きく向上します。

本記事の手順でサイズを見直し必要に応じてメモリ増設やSSD最適化も合わせて行えば快適な作業環境を維持できるでしょう。