突然パソコンが起動しない…最初に読むべき応急処置
仕事の締め切り直前にパソコンの電源ボタンを押してもランプが点かず、ファンの音もしないと焦ります。
実は電源ボタンが反応しない症状はデスクトップでもノートパソコンでも頻発するトラブルで、原因は単純な設定ミスからハードウェア故障まで幅広いです。
まずは深呼吸して電源ケーブルやバッテリーの接続を確認し、静電気抜きなど簡単に試せる手順から始めるだけで復旧することも少なくありません。
この記事では、『パソコン 電源ボタン 反応しない』と検索しているあなたが今すぐ試すべき応急処置から、故障が疑われる際の修理費用の目安、データ復旧のポイントまでを最新情報を交えて解説します。
2024年に入ってから発売されたWindows 11搭載機やMacBookシリーズでも共通する内容なので、家庭やオフィスで突然のトラブルに遭遇したときの参考にしてください。
なお、当記事は札幌のパソコン修理店インフォムが公開している技術ブログと、2024年4月時点の海外メーカー公式ドキュメントを基に編集しています。
広告目的ではなく客観的な情報提供を心掛けているため、修理を依頼する際は最寄りの店舗やメーカーサポートと比較検討することをおすすめします。
電源ボタンが反応しない原因を大きく二つに分ける
復旧までの時間を短縮するには、ソフトウェア要因かハードウェア要因かを切り分けることが重要です。
ソフトウェア要因とはBIOS設定の誤りやOSアップデート失敗によるフリーズなどで、内部は生きているものの正常起動の手前で止まっている状態を指します。
一方ハードウェア要因には電源ユニットの故障、電源ボタン自体の破損、マザーボード上の電源回路の不良などが含まれ、物理的に電気が流れないためボタンを押しても無反応です。
2023年後半に発表されたIntel第14世代CPUを搭載した一部ノートパソコンで、電源ボタンの下にあるフレックスケーブルが圧迫断線しやすいというリコール情報もあり、機種特有の問題が関係するケースもあります。
原因をざっくり分類した上で、次章からは自分で試せるチェックリストを進めて症状をさらに絞り込みましょう。
自分で試せる応急対応チェックリスト
外部電源とバッテリーのリセット
ノートパソコンならACアダプターとバッテリーを外し、10秒間電源ボタンを長押しして内部に残った電気を放電します。
デスクトップでもコンセントからプラグを抜き、同様に長押しする『残留電圧放出』で電源が入ることが多々あります。
周辺機器をすべて取り外す
USBメモリや外付けHDDがショートしているとマザーボードの保護回路が働き、起動信号が遮断される仕組みがあります。
最低限の構成にして電源ボタンを押し、症状が変わるか確かめてください。
キーボードの電源ショートカットを利用
一部のMacやゲーミングノートでは電源ボタンがキーボードと一体化しているため、Option+Control+Shift+電源ボタンの同時押しでSMCリセットを行うと復旧する事例があります。
バッテリー残量を正確に確認
LEDインジケータが点灯しない場合でも内部バッテリーが0%近くまで落ちていると、一定電圧に達するまで反応しない安全設計があります。
純正または出力が足りている充電器で30分以上給電してから再度電源を入れてみましょう。
CMOSクリアでBIOS設定を初期化
デスクトップならマザーボード上のボタン電池を外す、ノートパソコンならCMOSリセットホールにピンを差し込む方法で設定リセットが可能です。
ただし日時設定やファン制御値が初期化されるため、作業前にスマホでBIOS設定画面を撮影しておくと復元が楽になります。
別電源ユニットやアダプターで動作確認
同型のACアダプターがあれば差し替えて試すことで、ケーブル内部の断線や経年劣化を簡易的に判定できます。
デスクトップではテスターを使いATX電源の+12Vラインを測定すると、基準電圧を下回っていないか確かめられます。
静電気防止手袋とアース作業の重要性
内部を触る際は静電気で基板を損傷しないよう、金属製ケースでアースするか静電気防止手袋を着用してください。
修理や部品交換が必要になるケース
上記を試しても電源ボタンが反応しない場合、基板上のMOSFETやヒューズが断線している、もしくはボタン自体のスイッチが破損している可能性が高いです。
こうなると個人がはんだごてで交換するのは難易度が高く、専門修理店に依頼するのが現実的です。
一般的に電源回路修理は部品代込みで1万〜3万円程度から、マザーボード交換になると機種によっては5万円を超えることも珍しくありません。
インフォムの実績でも、2023年度に持ち込まれた『起動しない』案件の約38%が電源ボタン基板の交換で解決しており、作業期間は最短当日〜3営業日と報告されています。
パーツ取り寄せが必要な海外製ノートパソコンやMacは1〜2週間かかる例もあるため、データバックアップの必要性を含めて早めに相談しましょう。
データを守るために取れる選択肢
電源が入らない状態でもストレージ自体が破損していなければ、中身のデータは高い確率で生きています。
内蔵SSDを取り外してUSB接続の外付けケースに入れ、別のパソコンで読み込む方法は一番手軽です。
ただしMacBook Airなど基板直付けSSDの場合は専門設備が必要となるため、データ復旧サービスに依頼するしかありません。
復旧費用は容量や損傷度合いで変動しますが、論理障害なら数万円台、基板交換が伴う物理障害は10万円を超えることもあると各社は案内しています。
急ぎで作業する場合は『起動しないがデータ優先』と依頼時に明記し、ドライブの上書きや分解による損傷リスクを最小限に抑えてもらいましょう。
電源が入らない時にやってはいけないNG行動
焦って電源ボタンを連打すると、内部回路がチャタリングを検知して復帰までのタイムラグが長くなる場合があります。
また、ディスプレイが暗いだけで実は起動している可能性もあるため、無理にバッテリーを取り外すとハイバネーション中のデータが破損することがあります。
急速充電器など規格外の高出力アダプターを試すのも危険で、過電圧が原因でチップセットが短絡する例がメーカーの技術文書で警告されています。
まとめ|原因を絞り込んで最適な解決策を選ぼう
パソコンの電源ボタンが反応しないトラブルは、ソフトウェア要因とハードウェア要因を切り分け、簡単な応急処置を順番に試すことで多くが解決できます。
症状が改善しない場合は電源回路やボタン自体の故障が疑われるため、早めに修理店へ相談しデータ保護と費用感を把握することが大切です。
特に業務用ノートパソコンやMacは修理期間中の代替機手配も検討し、ビジネスの停滞リスクを最小限に抑えましょう。
この記事が電源トラブルに直面した際の一助となり、大切なデータと作業時間を守る手がかりになれば幸いです。