突然パソコンが起動しない…まず何をすべき?【緊急対応】
昨日まで問題なく使えていたパソコンが朝になって電源を押しても起動しないとき、人は誰しも強い不安に襲われます。
特に業務用データやオンライン授業の資料が入ったノートパソコンの場合、復旧までの時間が直接損失につながりかねません。
しかし慌てて電源を繰り返し入れ直すと状態が悪化し、データ復旧の難易度が上がるケースも報告されています。
まずは落ち着いて電源ケーブルとバッテリーの状態を確認し、異音や異臭が無いかをチェックしてください。
それでも反応が無い場合は次章の原因別チェックリストを参照し、手元でできる範囲の切り分けを行いましょう。
パソコンが起動しない主な原因
電源・バッテリー関連
もっとも多いのは電源アダプタや内部バッテリーの劣化、あるいは接触不良です。
特にUSB−C給電に対応した薄型ノートパソコンではケーブルの断線が外見上わかりにくく、突然電力が供給されなくなる事例が増えています。
またタワー型デスクトップでは電源ユニット内部のコンデンサが経年劣化し、一定以上の負荷がかかった瞬間に電圧が不安定になることがあります。
ファンが一瞬回ってすぐ停止する症状は電源ユニットの故障を示唆しています。
バッテリー膨張を伴う場合は発火リスクがあるため、通電をやめて専門業者に相談するのが安全です。
周辺機器・増設パーツの影響
USBメモリや外付けHDDが接続されたままだと、BIOS設定により外部デバイスを優先して読み込もうとしてフリーズすることがあります。
SSDやメモリを後から増設した場合、規格不一致や取り付け不良でPOSTエラーが起きる可能性も否定できません。
一時的に周辺機器を全て外し、メモリを一枚だけ挿した最小構成で起動を試す方法が切り分けに有効です。
OS・ソフトウェアの不具合
2024年春のWindows11大型アップデート「24H1」では、一部ドライバと衝突してブートループに陥る不具合が公式フォーラムで報告されました。
MacでもmacOS Sonoma13.3以前にアップデートした際、セキュリティソフトの旧バージョンが原因で灰色画面のまま止まるケースがあります。
ソフト的な問題の場合はセーフモードや回復環境での復元が効くため、データ損失のリスクを抑えながら修復できます。
ハードディスク・SSDの故障
回転音が普段より大きく聞こえた後にブラックアウトした場合、HDDのヘッド障害を疑うべきです。
SSDでもTBWを超過した記憶素子劣化により、コントローラが内部処理を完了できずフリーズする現象が報告されています。
これらストレージ障害は通電を続けるほど症状が悪化するため、安易な再起動は避けましょう。
自分でできる基本対処手順
ノートパソコンの場合
まずACアダプタを抜き、バッテリーを取り外せるモデルなら外してください。
電源ボタンを15秒以上長押しして内部に残った電流を放電し、その後アダプタのみ接続して起動を試みます。
成功した場合はバッテリー故障の可能性が高いため、純正または互換品への交換を検討しましょう。
起動しなければメモリスロットの接点清掃を行い、メモリを1枚ずつ差し替えてテストします。
それでも改善しない場合はマザーボード側の電源回路障害が考えられるため、個人修理では難易度が上がります。
デスクトップの場合
電源ケーブルを抜いて数分放置し、静電気を逃がします。
内部を開ける前に金属部分へ触れて体の静電気を放電し、基板を破損しないよう注意してください。
次に12V補助電源ケーブルや24ピンメインケーブルがマザーボードに確実に挿さっているか目視確認します。
グラフィックカードを取り外し、CPU内蔵グラフィックで起動できればGPUの故障が特定できます。
それでも電源が入らない場合、テスターで電源ユニットの各レーン電圧を計測し、規格外ならユニット交換が必要です。
ソフトウェア修復手順
電源は入るがOSが起動しない場合、Windowsでは「自動修復を準備しています」と表示されることがあります。
ループする場合はF8キー連打で回復環境に入り、以前の復元ポイントへシステムを戻します。
復元ポイントが作成されていない場合はUSB回復ドライブからのスタートアップ修復が有効です。
Macでは電源投入直後にCommandとRを押し、macOS復旧ユーティリティからディスクユーティリティを実行します。
「First Aid」でエラーが検出された場合、論理障害なら修復可能ですが物理障害ならクローンを作成してから専門業者へ依頼しましょう。
データ復旧の注意点と専門業者を利用する判断基準
業務書類や家族写真など消失できないデータが入っている場合、自力の試行錯誤は最小限に留めることが重要です。
HDDがカチカチと異音を出す場合はヘッド損傷が疑われ、開封クリーンルームでの処置が前提になります。
SSDでも通電回数を重ねるたびにコントローラが不良ブロックをマッピングアウトし、最終的に完全認識不可となるリスクがあります。
株式会社インフォムの実績によれば、ストレージに物理障害が発生した後に十数回電源を入れ直したPCは成功率が約20%低下したとの統計が出ています。
データ復旧を優先するなら、通電停止後に早期に専門ラボへ送付する判断が結果に直結します。
修理に出す際の費用相場と期間
パソコンが起動しないトラブルの修理費用は、部品交換の有無と障害箇所で大きく変わります。
一般的に電源ユニット交換のみなら部品代込みで数千円から一万円台で済むケースが多いです。
反対にマザーボード交換やデータ復旧を伴う場合は数万円から十万円程度まで幅広く、期間も部品在庫があれば即日から二週間程度が目安です。
メーカー修理は純正部品での対応が保証される一方で、データが初期化されるのが通例です。
データ保持を求める場合は、独立系修理店や前述の専門業者へ依頼するほうが選択肢を確保できます。
当社調べでは、症状を詳細に伝えたうえで見積書を取得し、複数社比較してから依頼するユーザーの満足度が高い傾向にあります。
まとめ|落ち着いた切り分けが復旧への近道
パソコンが起動しない状況では冷静さを欠きがちですが、最初の放電や周辺機器の取り外しだけで解決する例も少なくありません。
原因を「電源」「周辺機器」「OS」「ストレージ」の四つに大別して切り分けることで、不要な分解やデータ損失を避けられます。
ストレージから異音がする、もしくは復旧ソフトで認識しない場合は早急に通電を止め、専門業者へ相談するのが賢明です。
最新のアップデート情報やトラブルシューティング手順はMicrosoftやAppleの公式サイト、そしてインフォムブログでも随時更新されています。
本記事を参考に的確な初期対応を行い、大切なデータと作業時間を守りましょう。