パソコン修理会社「インフォム」で日々修理を担当している○○です。パソコンが突然起動しなくなるトラブルは、初心者から中級者の方まで非常に多くのご相談をいただく内容のひとつです。本記事では、実際の修理経験を踏まえながら「パソコンが起動しない」ときに役立つチェックリストや原因別の対処法をわかりやすくまとめました。まずは基本的な確認項目を押さえ、次に原因別の詳細な対処法を試してみましょう。自力での解決が難しい場合でも、最後にご紹介する修理依頼のタイミングを参考にしていただければ安心です。


パソコンが起動しないときにまず試すチェックリスト

パソコンが起動しないとき、慌てて分解したり大がかりな作業をする前に、下記のチェックポイントをまず確認してください。意外と基本的なところでトラブルが解決するケースも少なくありません。

  • 電源ケーブルがしっかり差さっているか
    コンセントやACアダプタのプラグに緩みがないかを確認してください。タコ足配線で電力が不安定な場合もあるので、壁のコンセントに直接挿すなども試しましょう。
  • ACアダプタのランプが点灯しているか
    ノートパソコンの場合は、ACアダプタ自体にランプがついている機種があります。点灯しない場合、ACアダプタ故障やコードの断線が疑われます。
  • 周辺機器(USB機器、外部ドライブ、CD/DVDなど)の取り外し
    マウスやキーボードを除く不要な周辺機器を外し、最小構成で電源を入れてみてください。周辺機器の不具合で起動が止まっている可能性があります。
  • パソコンが熱くなりすぎていないか
    長時間の稼働やホコリ詰まりによる熱暴走でパソコンが起動しなくなることがあります。しばらく電源を切って冷ましてから再度試してみると、正常に起動する場合もあります。
  • 放電(パソコン内に残った帯電をリセット)してみる
    ノートパソコンならバッテリーとACアダプタを外し、デスクトップなら電源ケーブルを外してから電源ボタンを数十秒長押しする方法です。静電気などで起動不良を起こすケースがあり、放電で改善することがあります。

パソコンが起動しない原因別の対処法とチェックポイント

上記チェックリストを試しても改善しない場合、もう一歩踏み込んだ原因別の対処が必要です。ここでは代表的な原因と対処法を解説します。

1. 電源ユニットやバッテリーの不良

症状の例
デスクトップPCの場合は電源ユニットが故障していると、電源ランプすらつかず完全に起動しないことがあります。
ノートPCの場合はバッテリーに問題があるとACアダプタのみで起動するかどうかが判断材料になります。

チェックポイント
1. ノートパソコンであればバッテリーを外し、ACアダプタのみで電源を入れて起動を確認。
2. デスクトップパソコンの場合、電源ユニットのスイッチがONになっているか再確認。

対処法
バッテリーや電源ユニットは消耗品なので、故障が疑われる場合は交換が必要です。純正品や信頼できるメーカー品を使用することをおすすめします。

2. BIOS設定やマザーボードのトラブル

症状の例
電源を入れても黒い画面のまま動かない、もしくはBIOSのエラーメッセージが出るケース。
「No bootable device」「Press F1 to continue」などが表示されたまま先に進めない場合は、BIOSのブート順が原因であることもしばしばあります。

チェックポイント
1. BIOS画面(起動時に「Del」や「F2」キーなどで入る)でブート順が正しくHDD/SSDになっているか確認。
2. 変更を加えていないのにBIOS設定が崩れている場合、マザーボードのボタン電池切れやマザーボード故障の可能性も。

対処法
ブート順が間違っているなら、メインのストレージ(HDD/SSD)を最優先に設定し直し、変更を保存して再起動します。
BIOSの初期化(Load Setup Defaultsなど)も効果的です。必要な設定を再度行う手間はかかりますが、誤ったパラメータをリセットできる可能性があります。

3. OSやドライバの不具合

症状の例
電源ランプはつくものの、Windowsロゴが表示されたあと進まない、あるいはブルースクリーンになってしまう。
「スタートアップ修復」や「自動修復」が走っても完了せず、無限ループに陥るケース。

チェックポイント
1. 最小構成で起動(周辺機器を外した状態)し、症状が再現するか確認。
2. セーフモードで起動できるかどうか試す。

対処法
セーフモードで起動できたら、不要なプログラムや不具合を起こしているドライバの更新・削除を行います。
Windows Updateやシステムファイルの破損が原因なら、「スタートアップ修復」や「システムの復元」を行い、場合によってはOSのリカバリー(初期化)を検討しましょう。

4. ウイルス感染

症状の例
通常の起動を妨げるマルウェア・ウイルスに感染している場合、電源は入るが起動が極端に遅い、あるいはフリーズするなどの症状が出ます。

チェックポイント
1. 最新のウイルス対策ソフトを導入しているか。
2. セーフモードでのウイルススキャンで検出がないか確認。

対処法
セーフモードでウイルス対策ソフトを実行し、ウイルスを駆除します。
感染が深刻な場合は、データバックアップ後にリカバリーやOS再インストールを行うのが安全です。

5. ハードウェア故障(メモリ、HDD/SSD、マザーボードなど)

症状の例
HDD/SSDが故障しているとOSを読み込めず、黒い画面のまま起動できないか、途中で止まることが多い。
メモリが原因の場合はブルースクリーンや再起動を繰り返す症状がよく見られます。

チェックポイント
1. メモリの差し直し、メモリスロットの変更で改善しないか試す。
2. HDD/SSDが異音(カチカチ音など)を発していないか確認。
3. 別のパソコンや外付けケースでストレージをチェックする方法も有効。

対処法
物理的なハードウェア故障の場合、自力修理が難しいことが多く、交換や専門業者での修理が必要です。
データ復旧が必要な場合は、トラブルを悪化させる前に業者へ依頼するのが安全です。


インフォムで実際にあった修理事例

インフォムでは、毎月さまざまな「パソコンが起動しない」トラブルをご相談いただいています。たとえば、先日ご来店されたお客様のケースをご紹介します。

事例内容
症状:電源ランプは点灯するが、画面が真っ暗なまま。ファンは回っている音がする。
原因:内蔵されていたSSDの寿命による故障が発覚。BIOSからSSDを認識しておらず、OSを読み込めなくなっていました。
対処:SSDを新しい製品に交換し、OSのクリーンインストールとデータ復旧作業を実施。ご自宅ではデータのバックアップを取っていなかったものの、一部のデータは特殊ツールで抽出可能だったため、一部救出に成功。

同様の症状でも原因は多岐にわたります。まずは基本チェックを行い、それでも解決しなければ専門家へご相談ください。


よくある質問(Q&A)

Q1: 電源ランプはつくが画面が真っ暗なだけの場合は?

A:
電源ランプがつき、ファンも回っているのに黒い画面が続く場合、ディスプレイやケーブル接続、メモリ・HDD/SSDの不具合などが考えられます。まずは外部モニターや別のケーブルで映像が出るか確認しましょう。改善しなければ、ストレージやメモリの物理故障を疑い、放電やパーツの差し直しを試すのも有効です。

Q2: ブルースクリーンになるが、どこから対処すればいい?

A:
ブルースクリーン(BSoD)はOSやドライバの深刻なエラーを示します。まずはセーフモード起動を試し、直前に入れたドライバやソフトをアンインストールする、Windows Updateをロールバックするなどが効果的です。セーフモードでも改善しない場合は「システムの復元」や「スタートアップ修復」を行い、最終的にはリカバリー(OSの再インストール)を検討します。

Q3: ファンが回っているのに起動しないのはどうして?

A:
ファンの回転は電源が部分的に供給されている証拠ですが、マザーボードやストレージへの電源供給が正常でない、あるいはOSが読み込めていない可能性があります。メモリやストレージがしっかり認識されているか、BIOS画面でハードウェア情報を確認してみてください。熱暴走による自動保護がかかっている場合もあるため、ホコリや冷却環境を点検することも重要です。


修理費用と作業時間の目安

実際に故障パーツを交換したり、データ復旧を行う場合は、症状によって費用や日数は異なります。あくまで一例ですが、インフォムでの目安は以下のとおりです。

  • 軽度のソフトウェアトラブル(OS修復のみ)
    作業費用: 5,000円~10,000円前後
    作業時間: 1~2営業日(状況により即日対応も可能)
  • ハードウェア交換(HDD/SSD・電源ユニットなど)
    作業費用: パーツ代 + 5,000円~(交換作業)
    作業時間: 2~5営業日(在庫や交換部位によって変動)
  • データ復旧
    作業費用: 軽度のロジカル復旧で20,000円~、物理障害の場合50,000円~
    作業時間: 数日~1週間程度(障害度合いによる)

これらはあくまで概算であり、症状を確認したうえで正確なお見積もりをお出ししています。メーカー修理の場合はサポート状況や保証内容によっても変わってくるので、合わせてご検討ください。


まとめ・修理依頼のタイミング

「パソコンが起動しない」という症状は、電源ケーブルの単純な接触不良からBIOS設定やハードウェア故障まで、原因は非常に幅広いものです。まずは

  1. 基本的なチェックリストでケーブルや周辺機器を確認
  2. OSやドライバの問題、ハードウェア故障など原因を切り分け
  3. セルフ対処が難しいと感じたら専門業者に依頼

と進めていただくとスムーズに解決に近づくでしょう。
万一、データのバックアップがない状態でハードウェアに物理障害が起きている場合、自分で無理をすると取り返しのつかないデータ損失に陥る恐れもあります。そのため、少しでも不安を感じたら早めに修理の専門家へ相談してください。

自力での解決が難しい場合は、パソコン修理の専門家である「インフォム」までお気軽にご相談ください。
診断から修理、データ復旧、買い替えのアドバイスまで、豊富な経験を持つスタッフが責任をもって対応いたします。まずはお問い合わせや来店予約をお待ちしております。あなたのパソコンが一日でも早く復旧するよう、全力でサポートいたします。